相続における借金・保証人の話(1/4)
相続とひとくちに言っても、プラスの財産を相続する場合もあれば、マイナスの財産、つまり、借金や保証人の地位を相続する場合もあります。そこで、今回から4回にわたって、借金や保証人の相続についても留意点をとりあげていきます。
《わかりにくい相続財産》
親元と離れてくらす核家族が増加するなか、遠方の親の生活や経済状況が見えづらくなっており、被相続人(親)のプラスの財産ですら、よくわからないことがあるなかで、マイナスの財産はさらにわかりにくくなっています。親は、子に自分の借金や自分が誰かの借金の保証人になっている、なんてことは言わないことが多いでしょうし、親自身が誰かの保証人になったことを忘れていることもあります。しかし、相続というのは、「無償かつ無条件に、無制限に一切の権利・義務を承継」するものであり、相続人は、プラスの財産ばかりでなく、被相続人の借金の弁済義務や保証債務も引き継ぐことになります。
《相続するか?しないか?》
多額の借金を残した人の相続人が、無条件で借金を引き継がなければならないのは非常に酷です。そこで、相続人には相続放棄や限定承認をして、マイナスの財産は引き継がない選択をすることが認められています。
相続放棄や限定承認をするためには、「相続人は自己のために相続の開始があってことを知った時から三箇月以内」に家庭裁判所に申述しなければならず、撤回はできません。何もしないまま熟慮期間である3ヵ月を経過すると、相続人は相続分に応じた財産・債務を無条件に引き継ぐ、単純承認をしたことに自動的になってしまいます。