相続の落とし穴「遺留分」(1/2)

相続に関する裁判のうち、多くの部分は、「遺留分」に関するものです。「○○に財産のすべてを相続させる」としていても、一定の相続人には、請求があれば財産を分与させなければなりません。遺留分とは、どのような制度なのでしょうか。遺留分がある人とない人、遺留分の割合、遺留分の減殺請求のほか、遺留分の算定方法や、遺言の内容が遺留分を侵害してしまったような場合の対策などについて解説します。

 

●遺留がある人、ない人

 

遺言を残す際には、誰にどのくらい遺留分があるのかを把握することが重要です。遺留分とは、相続人に最低限保証されている相続財産の割合です。そのため、遺留分権利者、つまり、遺留分の減殺請求をできるのが誰なのか押さえておかなければなりません。

遺留分権利者は、相続人である。配偶者、子(子が先に死亡している場合、孫を含む)、父母などの直系尊属が相続人になると遺留分の権利を保有することになります。そのため、相続人ではない第三者が遺贈によって財産を受けたとしても、遺留分の権利は有しません。

ただし、相続人であっても、兄弟姉妹(代襲相続人を含む)は遺留分の権利を有していません。さらに、本来は相続人なのに、遺言により相続人から廃除された者、欠格事由に該当する者、相続放棄した者にも遺留分がありません。なお、廃除や欠格事由に該当して相続権を失った者は代襲相続が認められるため、その代襲相続人は遺留分の権利を有することになりますが、相続放棄者には代襲相続が認められないので、相続放棄者の子は遺留分の権利も有しません。

 

遺留分の割合と遺留分減殺請求

 

遺留分の割合は原則として相続財産の2分の1で、直系尊属(父母等)のみが遺留分権利者である場合(子などがいない場合)は3分の1となります。また、法定相続分と遺留分の割合は図表2のとおりです。配偶者以外の遺留分権利者が複数の場合は、人数で按分することになります。

遺留分を侵害された者はその侵害分を取り戻すため、侵害している者に対し「遺留分減殺請求」を起こすことができます。この遺留分減殺請求権は、個々の遺留分権利者が単独で行使できます。一方遺留分を放棄することもできます。遺留分の放棄は、被相続人の生前であれば家庭裁判所の許可が必要となりますが、相続開始後であれば遺留分権利者が遺留分の侵害があっても「遺留分減殺請求」を行わなければよく、家庭裁判所への手続きは不要となります。

遺留分とは、その分を相続できるということを主張できる権利で、その主張のもと、法による最低限の保証が得られるという位置づけのものであるため、遺留分相当額を必ず相続しなければならないというものではありません。

なお、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が遺留分を侵害されていることを知った時から1年、または相続の開始の時から10年で時効により消滅します。つまり、例えば死後1年を経過した後に遺言書の内容による遺産分割が自分の遺留分相当額を侵害するものであることを知った場合には、その知った時から1年間が遺留分減殺請求の可能な期間となります。

遺留分減殺請求権を行使するには、この期間内に遺留分を侵害している者に対する意思表示により請求をしなければならなりません。実際には確実にいつ意思表示をしたとわかるようにするには、配達証明付きの内容証明で送るケースが多いです。

 

遺留分の割合と遺留分減殺請求

 

遺留分の割合は原則として相続財産の2分の1で、直系尊属(父母等)のみが遺留分権利者である場合(子などがいない場合)は3分の1となります。配偶者以外の遺留分権利者が複数の場合は、人数で按分することになります。

遺留分を侵害された者はその侵害分を取り戻すため、侵害している者に対し「遺留分減殺請求」を起こすことができます。この遺留分減殺請求権は、個々の遺留分権利者が単独で行使できます。一方遺留分を放棄することもできます。遺留分の放棄は、被相続人の生前であれば家庭裁判所の許可が必要となりますが、相続開始後であれば遺留分権利者が遺留分の侵害があっても「遺留分減殺請求」を行わなければよく、家庭裁判所への手続きは不要となります。

遺留分とは、その分を相続できるということを主張できる権利で、その主張のもと、法による最低限の保証が得られるという位置づけのものであるため、遺留分相当額を必ず相続しなければならないというものではありません。

なお、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が遺留分を侵害されていることを知った時から1年、または相続の開始の時から10年で時効により消滅します。つまり、例えば死後1年を経過した後に遺言書の内容による遺産分割が自分の遺留分相当額を侵害するものであることを知った場合には、その知った時から1年間が遺留分減殺請求の可能な期間となります。

遺留分減殺請求権を行使するには、この期間内に遺留分を侵害している者に対する意思表示により請求をしなければならなりません。実際には確実にいつ意思表示をしたとわかるようにするには、配達証明付きの内容証明で送るケースが多いです。