経営者のための退職金制度「小規模企業共済」とは?メリットや節税効果を徹底解説(2/4)

私の書いた記事が税理士ドットコムトピックスに掲載されましたので、転載いたします。よろしければ、ご覧になっていただければ幸いです。

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■ 小規模企業共済のメリット
小規模企業共済は多くのメリットがあります。では具体的にどういうメリットがあるのかみていきましょう。

① 税額が軽減される
小規模企業共済のいちばんのメリットは、掛金を全額所得控除できることによる節税効果です。
例)課税所得が400万円のAさんが小規模企業共済に加入しなかった場合とした場合でシミュレーションします。なお、所得税率は20%、住民税率は10%と仮定します。

小規模企業共済に加入しなかった場合の納税額
400万円 ✕ 30% = 120万円
小規模企業共済に加入し毎月3万円掛金を支払ったときの納税額
(400万円 ー 3万円 ✕ 12ヶ月)✕ 30% = 109万2,000円

このケースでは小規模企業共済に加入することで、年間で10万8,000円の節税効果が得られます。

② 月1000円から少額の積立ができる
月々の掛金は1,000円という少額から、500円きざみで自由に設定できるのも魅力です。月1000円の掛金でも、年間で1万2,000円の所得控除が受けられます。

③ 掛金以上の共済金が受け取れる
共済金は、毎月の掛金額や納付月数によって算定される「基本共済金」と掛け金の運用によって得られる「付加共済金」の合計金額になります。そのため、一定期間以上掛金を支払うと積み立てた掛金額以上の金額を受け取ることも可能です。

④ 低金利かつ無担保・無保証人で借入ができる
小規模企業共済で設けられている貸付制度においては金利が年0.9%〜1.5%と低く、さらに無担保・無保証人で借入できます。厳しい審査などもないので、資金調達の難易度は比較的低いです。

■ 掛金について
掛金は月額1,000円から最大7万円まで設定できます。掛金の増額・減額は500円単位から可能で、変更する際は「掛金月額変更申込書」を金融機関や商工会議所などの委託機関、ならびに中小機構に提出します。掛金の支払いは役員または事業主個人の口座振込で、月払い・半年払い・年払いから選択し、一括で前納することもできます。また、支払った掛金は「小規模企業共済等掛金控除」が適用され、課税対象となる所得から全額を控除できます。ただし契約者自身の収入の中から納付することになるので、事業上の損金または必要経費として算入できません。

■ 仕訳について
前述の通り、小規模企業共済の掛金は個人的な支出になるため仕訳は不要です。しかし、事業用の口座から掛金を支払ったときは「事業主貸」で仕訳をしなければなりません。

■ 確定申告書の記入方法
小規模企業共済で所得控除を受けるには、年末調整か確定申告の際に今年度支払った掛金額を記入しなくてはなりません。年末調整は「給与所得者の保険料控除申告書」、確定申告は確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」に記入し、「小規模企業共済金払込証明書」と共に提出します。

■ 共済金、解約手当金について
退職時や廃業時には積み立てた掛金を共済金として受け取れるほか、解約時にも解約手当金として受け取ることができます。共済金または解約手当金を受け取るには一定の請求事由が必要です。請求事由は加入者の立場によって異なり、それによって受け取れる共済金の種類が異なります。ただし、共済金A、共済金Bは掛金納付月数が6か月未満、準共済金、解約手当金については掛金納付月数が12か月未満の場合、受け取ることができません。