消費税免税制度の改正(1/2)

 平成27年度税制改正関連法の成立により、平成29年4月から消費税率が10%に引き上げられることになりました。消費税は、社会保障制度を支える税金として重要な役割を持ちます。以下、今回の改正点について、解説していきます。

 

《消費税の課税制度と基本的な仕組み》

 消費税は、金融取引や資本取引、医療、福祉、教育など一部の取引を除き、国内での商品の販売、サービスの提供および保税地域(輸入する港、空港など)から引き取られる外国貨物を課税の対象とする間接税です。

消費税は、事業者が負担するのではなく、税金分が事業者の販売する商品やサービスの価格に上乗せされます。つまり、消費税を実質的に負担しているのは、最終消費者となる、というタテマエになっています。そのように考えると、消費者に商品を販売した段階で課税すればよいというふうに思われますが、納税事務負担の集中を避けるために、取引のつど課税する多段階課税方式を採用しています。

たとえば、文房具店が問屋から400円(税抜)の鉛筆を仕入れ、1,000円(税抜)で消費者に販売した場合、商品代金とは別に、文房具店は問屋に対して32円(400円×8%)の消費税を払い、消費者は文房具店に対して80円(1,000円×8%)の消費税を払うことになります。問屋の納税額は文房具店から受け取った32円であり、文房具店の納税額は48円(80円―32円)で、消費者が払った80円と同額になります。このように取引のつど課税され、納税が行われる。

 

《外国人旅行者向け消費税免税制度の改正》

 国内の物品の販売であっても、輸出物品販売場(免税店)において、外国人旅行者等の非居住者に対して外国への土産等の物品を販売し、それを出国の際に携帯して持ち出すものについては、消費税が免除されます。なお、この免税要件としては「通常生活の用に供する物品」とされており、非居住者が海外において販売することを目的とした物品は含まれません。

 平成26年10月1日より、消費税が免除される物品の範囲が拡大されました。これにより、それまでは免除対象外だった食品、飲料等、薬品類や化粧品類等の消耗品が免税対象品となりました。

 また、同一の非居住者に対して1店舗1日あたりの購入額が1万円超とならなければ免税対象とはなりませんが、改正で追加された品目については、5,000円超で免税対象となります。ただし、同一の免税店において同一の日に同一の非居住者に対して販売する消耗品の税抜対価の額の合計額が50万円を超えない範囲内に限られます。

 食品・飲料等の消耗品については、国内で消費されるおそれがあること等から、輸出仕様の包装を施している等の不正防止策の要件があります。

 観光庁の「訪日外国人の消費動向平成25年年次報告書」によると、外国人が行った活動でショッピングが第2位になっています。また、購入率が最も高いのが菓子類、次いでたばこ、食料品、さらには化粧品、医薬品と続いています。この報告書を見てもわかるように、外国人が消耗品を購入する機会が多く、これらを免税販売対象としたことにより、販売増加への貢献が期待されます。