消費税免税制度の改正(2/2)
平成27年度税制改正関連法の成立により、平成29年4月から消費税率が10%に引き上げられることになりました。消費税は、社会保障制度を支える税金として重要な役割を持ちます。以下、今回の改正点について、解説していきます。
《国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直しについて》
これまでは、税関を通らない電気通信回線を介して国内から国外に向けて提供された役務(デジタルコンテンツの配信等)に対して課税されてきましたが、不課税の扱いになりました。また、逆に、税関を通らない電気通信回線を介して国外から国内に向けて提供された役務(デジタルコンテンツの配信等)については不課税でしたが、課税されることになりました。
- 電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し
電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供について、消費税の課税対象となる国内取引に該当するかの判定基準が、役務の提供を行う者の所在地から受ける者の所在地に変更となりました。つまり、これまでは、国外に向けて国内から提供した場合、国内取引とみなされ課税となりましたが、改正後は、国外から提供されたものを国内で受け取った場合、国内取引とみなされ課税されることとなりました。
- 課税方式の見直し
上記の見直しに伴い、当該役務の提供を行った者が国外事業者である場合、「事業者向け電気通信利用役務の提供」および「消費者向け電気通信利用役務の提供」のいずれに該当するかにより、課税方式が改正されました。
「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、例えば対象取引例として広告の配信が挙げられます。それに係る課税方式とは、リバースチャージ方式と呼ばれ、役務の提供を受けた国内事業者に申告・納税義務を課す方式です。つまり、通常「売り手」が預かって納税する消費税を「買い手」が納税する方式です。この方式は経過措置があり、当分の間は、当該課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売上割合が95%未満である事業者にのみ適用されます。
一方「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは、対象取引例として電子書籍や音楽配信が挙げられます。それらに係る課税方式は、国外事業者が日本の税務署に申告・納税を行う方式です。
- 国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除の制限
国外事業者から「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合、経過措置により、当分の間、当該役務の提供に係る課税仕入れについて仕入税額控除を制限することとされました。ただし、登録国外事業者である場合には、仕入税額控除の適用が可能とされています。登録国外事業者については、国税庁ホームページで公表されています。
- 国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直し
国外事業者が国内で行う映画もしくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人または職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行う役務の提供のうち、当該国外事業者が他の事業者に対して行うものを「特定役務の提供」とし、これを受けた場合、その役務の提供を受けた者が「特定課税仕入れ」として申告・納税することとなります。つまり、リバースチャージ方式になるのです。