民泊用家屋が「住宅」から外れると、 固定資産税が数倍に
外国人旅行者等を自宅等に宿泊させ宿泊料を得る「民泊」が、オリンピックの開催に向け、盛り上がりをみせています。税務的に民泊をみると、所得税の申告義務が発生することが想定されますが、固定資産税の取り扱いにも注意しなければなりません。現行制度では、固定資産税の減額特例が受けられなくなる事例もあるようです。
1.住宅用地の減額特例で固定資産税は1/6になっている
住宅用地に係る固定資産税については、一定の要件を満たすことで課税標準額を減額する特例を受けられます。原則、住宅用地に係る固定資産税の課税標準は1/3に減額され、住宅用地が200㎡以下の「小規模住宅用地」であれば、課税標準額が1/6に減額されます。一般的な住宅ですと、1/6の特例を受けているケースが多いようです。
2.民泊によって住宅用地に該当しなくなるケースも
この特例の対象となる土地は、あくまでも、「人の居住の用に供する家屋」の敷地とされています。一般の賃貸アパートでも人が居住する家屋であれば特例の対象になりますが、民泊は、「人が宿泊・滞在する」ものとなり、居住の用に供しているとは解釈されません。そのため、場合によっては、特例の対象となる住宅用地から外れるケースも出てくるようです。
ただ、住宅の一部を民泊として提供している場合など、一部を居住用に使用している場合は、その割合に応じて、特例の適用を受けられる場合もあります。
3.既に調査に着手している自治体も
民泊を(適法に)行うためには、旅館業法等の許可等を申請する際にその設備や床面積に係る情報等を提供します。その許可情報を基に、既に家屋の利用実態の調査に着手している自治体もあります。また、現状の固定資産税上の取り扱い上では、民泊は、「グレーゾーン」に該当する施設になりますので、今後の民泊関連法の整備に伴って、固定資産税の取り扱いも明確になってくるものと思われます。