公益法人の設立について その1

公益法人と聞いて、どのようなイメージをもつでしょうか。法律上、公益法人とは、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(「公益認定法」)に基づき、認定を受けた公益社団法人、公益財団法人のことを指します。

また、上記の公益法人に、NPO法人、社会福祉法人、宗教法人、医療法人、学校法人、更生保護法人があり、まとめて、広義の公益法人といいます。それぞれ、設立や内部のマネジメント方法が異なりますので、今回は、法律上の公益法人について、ご説明します。

まずは、公益法人の歴史から、ご説明します。明治29年の民法制定とともに始まった社団・財団法人は、歴史とともに事業環境が変わり、公益事業をやっているとは言えない法人が多くなってきました。設立許可と指導監督を主務官庁(所轄の省庁のことです)が一括して行っていたため、天下りの温床にもなっていました。なかには、ほとんど仕事をしない天下りの役員が補助金で2,000万円の年収をもらっていたなどの事例もありました。また、不祥事も多く、株式会社と同様の事業をしていても課税されないなど、問題点も多くなっていました。

そこで、公益法人改革が行われ、「新」公益法人が誕生したのです。

 

公益法人制度改革のポイント

《改革前》

主務官庁(所轄の省庁)に「公益性」を認められたものだけが、法人格がえられた。

法人運営については、法律ではなく、主務官庁の指導により行われていた。

法人設立についても、法律ではなく、主務官庁の裁量による運用がなされていた。

 

《改革後》

要件を満たせば、登記のみで一般社団・財団法人を設立できるようになった。

一般社団・財団法人のうち、要件を満たして公益認定を受けた法人が、公益社団・財団法人となる。

公益認定は、民間有識者による内閣府の公益認定員会か、都道府県の合議制の機関が行う。

 

改革後は、法人格が容易に取得できるようになり、また、民間有識者が明確に定められた基準により公益認定を行うことで、主務官庁との癒着を断ち切ることになったのです。この改革の結果、従来の25,000の公益法人のうち、約5,000法人が解散し、約9,050法人が新公益法人に、11,679法人が一般社団・財団法人に移行しました。