公正証書遺言作成の流れ(2/2)
公証役場で遺言書を作成するときには、公証役場に行って公証人に遺言内容を口授するケースと、専門家を間に入れ、その専門家と内容を検討後、原案を公証役場に持ち込み、作成するケースがあります。全体の流れを知るために、ケース別の流れや必要書類について説明します。今回は、専門家を間にいれるケース及び手数料について検討します。
■専門家を間に入れるケース
前回のように、公正証書遺言は本人が公証役場に出向いて公証人と検討しながら作成することが出来ますが、最近では専門家を間に入れるケースも増えています。
例えば、財産が多い、相続においての懸念事項があるといった場合には、あらかじめ争族対策を専門家に相談することもあります。その一環として公正証書遺言作成にあたっての助言を求めることも効果的といえるでしょう。
公正証書遺言作成手数料のほかに、専門家への相談料や手数料は発生しますが、事前に十分に検討を重ね、法的な考慮もなされた、ほぼ完成形に近い原案を作成することが出来ます。また、必要な資料なども教示してもらえるため、専門家を入れない場合よりも、効率的に準備できます。別途費用はかかりますが、これらの資料の取り寄せを依頼することも可能です。さらに身内でなく守秘義務を順守してくれる証人として、専門家に承認を依頼できることも、大きなメリットです。
■公正証書遺言作成における手数料と計算方法
公正証書遺言作成における手数料は、公証人手数料は、公証人手数料令によって定められています。規定の作成手数料のほか、別途加算されるものもありますので、作成段階できちんと確認しておきましょう。
また、公正証書遺言作成における手数料は目的財産の価額に応じて算出されますが、この場合、財産の総額ではなく、相続人、受遺者ごとに財産の価額を算出し、それらの手数料を合算した金額が、当該証書作成の手数料となります。
(例) 相続人甲に4,000万円、相続人乙に3,000万円、
相続人丙に3,000万円を相続させる場合
① 甲分の手数料:29,000円
② 乙分の手数料:23,000円
③ 丙分の手数料:23,000円
④ 遺言加算(目的財産の価額の合計額が1億円以下):11,000円
⑤ 合計:86,000円
遺言の原案を検討する中で、様々な事情により当初想定した遺言内容を変更しなければならない場合もあるでしょう。遺言作成の目的を最大限に実現するためにも、遺言の中身の吟味が何よりも重要です。