「国際観光旅客税」とは?日本を出国するたびに1000円徴収される?!(1/2)

私の書いた記事が税理士ドットコムトピックスに掲載されましたので、転載いたします。よろしければ、ご覧になっていただければ幸いです。

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2019年1月7日より、日本を出国するたびに1人あたり1000円が徴収される「国際観光旅客税」が導入されました。近年は日本へ観光に来る外国人が増えているため、新しい財源として期待が集まっています。この新税は、外国人観光客だけでなく、日本人が海外へ出国する際にも課税の対象となるのが特徴です。出張で海外に行く機会が多い人や、趣味で海外旅行によく出かける人にとっては、気になる税金といえるでしょう。そこで今回は、国際観光旅客税の特徴や対象になる人、徴収方法などについて詳しく解説します。

■ 国際観光旅客税とは
「国際観光旅客税」とは、2019年1月7日に導入された国税です。別名「出国税」といわれ、恒久的に徴収される国税としては、1992年の地価税以来、27年ぶりに新しく導入されることになりました。日本から出国するたびに1人あたり1000円徴収され、税収は観光客向けのインフラ整備に使われることになっています。

■ 対象になる人
対象となるのは、基本的に航空機や船舶で日本を出国する人全員となります。そのため、外国人観光客が日本から出国する際はもちろん、日本人が旅行や留学、出張で海外に出国する際にも税金を納めることになります。当初は外国人のみを課税の対象とすることも検討されましたが、日本が各国と結ぶ租税条約で「国籍無差別」の条項があることから、日本人と外国人を区別することなく、平等に納めることに決まりました。

なお、以下のような場合は、課税の対象外となります。
 ・2歳未満の人
 ・航空機や船舶の乗員
 ・強制退去者
 ・政府専用機などの公用な船舶や航空機で出国する人
 ・トランジットのための立ち寄りで入国後24時間以内に乗継で出国する人
 ・出国したが、天候やその他の理由によって帰国した人

■ 徴収方法
航空券や船のチケットを買うときに、課税分の1000円が上乗せされて発券される仕組みです。そのため、旅客自身が個別に税金を納める必要はありません。航空会社等は個人から徴収した税金をまとめて、翌々月までに国に納付します。なお、プライベートジェットなどで出国する場合は、航空機に搭乗するまでに、納税地を所轄する税関へ税金を納付する必要があります。

■ 何に使われるのか
近年、外国人の旅行者は急増していますが、政府は今後もさらに外国人旅行客を増やす方針を立てています。例えば2020年の東京オリンピック時には、訪日外国人旅行者を4000万人、旅行消費額を合計8兆円に増やすという目標を掲げています。
そのためには、観光基盤をより拡充・強化することが急務であり、恒久的な財源を確保することが必要になります。その財源として国際観光旅客税が導入されたというわけです。

なお、国際観光旅客税は、以下の3つの観光財源に充当されると定められています。

1 ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備
2 日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化
3 地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備などによる、地域での体験滞在の満足度向上

具体的な使い道としては、外国人旅行者のための多言語解説の充実、空港の顔認証ゲートの導入、無料Wi-Fi環境の拡大、トイレの洋式化、文化財などの観光資源の設備などに使われることになっています。
また現在、海外からの観光客は、東京や大阪、京都、沖縄などに人気が集中しています。ところが日本には、他にも魅力的な観光地がたくさんあるため、全国規模で日本の観光地をPRするといった取り組みも行われています。

こうした日本の魅力を海外に伝える訪日プロモーションにも、国際観光旅客税を活用することができるため、より情報発信の強化へつながることも期待されています。