公的年金等控除額の改正と個人型確定拠出年金(iDeCo)(2/2)
■ 基礎控除の見直し
基礎控除は、納税者本人や納税者の配偶者、扶養親族の最低限の生活を維持するために、必要な収入を守る観点から設けられた所得控除で、1947年に創設されました。所得の多募にかかわらずすべての納税者に対して一律の金額とされてきました。基礎控除が現在の38万円になったのは、1995年以降からとなります。 基礎控除は所得控除のうちの1つですが、所得控除方式は、課税対象者を減らした後に所得額に応じて5~45%の累進課税率を掛けて税額を計算するため、税率が高い高所得者ほど減税効果が大きくなり、所得再配分公課が低くなってしまいます。そこで、今回の改正で、基礎控除に逓減・消失型の所得控除方式が採用されました。 具体的には、所得額は一律10万円引き上げられたものの、合計所得金額が2,400万円を超える個人については控除額が逓減していき、合計所得金額が2,500万円を超える個人ついては基礎控除の適用がされなくなります(消失する)。
■ 基礎控除の見直し
今回の改正が適用されることにより、給与所得者は給与収入が850万円以下であれば、増減税はありません。850万円超になると、子育て・介護世帯を除けば増税となります。年 金受給者は、公的年金以外の所得が1,000万円超の場合に増税となります。 参考までに、自営業者については給与所得控除額および公的年金等控除額の引き下げの影響を受けないため、基礎控除が引き上げられた分、減税となります。 すべてに共通するのは、合計所得金額が2,400万円超の場合は、基礎控除額が引き下げられるため増税となることです。 iDeCoを年金形式で受給することを考えた場合、所得金額調整控除もあるため、一部の高所得者を除けば今回の改正の影響はほぼ受けないといえるでしょう。