自費負担の眼内移植型コンタクトは医療費控除の対象か
眼内移植型コンタクトレンズやレーシック手術は、自費負担ではありますが、失った視力を大きく回復させる魅力的な方法として、普及しています。この治療法の多くは、自由診療となり、健康保険は適用されませんが、医療費控除は適用されるのでしょうか。
【回答】
ICL手術費用は、医療費控除の対象になるものと解されます。
【解説】
ICL手術は、眼球内の虹彩と水晶体の間にレンズを移植して、近視や乱視を治す方法とされており、その性状から眼内移植型コンタクトレンズともいわれています。
また、ICL手術は、小さなレンズを眼の中に挿入し、近視・遠視・乱視を矯正する治療法とされており、眼の中に入れたレンズは交換の必要がなく、長期にわたり良好な視力を維持することができ、角膜の厚さや近視・乱視の度数に関係なく受けることができるのが特徴で、レーシック手術では矯正が難しいとされてきた強度近視の人、角膜が薄い人、角膜形状が不正な人にも適しているとされています。
なお、ICLはその有効性と安全性が認められ、有水晶体後房レンズとして厚生労働省より承認されていますが、その手術はレーシック手術以上に高い技術を要するため、メーカーより技術認定を受けた医師のみが執刀を許可されており、健康保険の適用対象外(自由診療)とされています。
ところで、レーシック手術(視力回復レーザー手術)とは、角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術のことですが、この手術は、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価と認められることから医療費控除の対象となる旨、また、オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)とは、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを装用することにより、屈折率を正常化させて視力の回復をさせるものですが、この治療も、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価として認められるとされています。
そうしますと、ICL手術は、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるためのものといえ、一般的な眼鏡やコンタクトレンズの購入費用とは異なり、医師による診療又は治療(執刀)によってICL(有水晶体後房レンズ)を装用することによって近視や乱視を治す方法であることから、ICL手術費用については医療費控除の対象になるものと解されます。