経営者のための退職金制度「小規模企業共済」とは?メリットや節税効果を徹底解説(4/4)
私の書いた記事が税理士ドットコムトピックスに掲載されましたので、転載いたします。よろしければ、ご覧になっていただければ幸いです。
https://www.zeiri4.com/c_3/h_795/
■ <公的年金等の雑所得となるもの>
・分割共済金
公的年金等の雑所得
共済金が公的年金等の雑所得として扱われる際、所得金額は「共済金等の額 ? 割合 ー 控除額」で求めます。割合と控除額は、共済金等の合計額と受取人が65歳未満かどうかで異なります。たとえば、65歳未満の人が分割共済金を合計3000万円受け取ったとすると、公的年金等に係る雑所得は以下のようになります。
「3000万円 ×95% ー 155万5000円=2694万5000円」
<一時所得となるもの>
・65歳未満の契約者の任意解約手当金
・中小機構により解約されたときの手当金
■ 一時所得
共済金が一時所得として扱われる際、所得金額は「(共済金等の額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額)」で求めます。なお、積み立てた掛金額は「収入を得るために支出した金額」に該当しません。
たとえば、共済金が3000万円だったとき、特別控除額を50万円だとすると、一時所得は以下のようになります。
「3000万円 ―50万円= 2950万円」
一時所得は、算出した金額の2分の1を他の所得と合算して確定申告しなければなりません。よって今回の場合は1,475万円が確定申告の対象額となります。
このように受け取る共済金額が同じでも、受取方法によって課税対象となる所得金額や税負担額が異なるので注意しましょう。
貸付制度について
小規模企業共済には貸付制度もあり、一定の要件を満たせば納付した掛金の合計金額内で資金の借入ができます。借入金の用途によって、以下の7つの制度があります。
■ 一般貸付制度
迅速に事業資金を借入れできる基本的な貸付制度です。
■ 緊急経営安定貸付
一時的な経済状況の変化により資金繰りが困難になったときに借入れできます。
■ 傷病災害時貸付
ケガや病気、または災害により被害を受けたときに借り入れできます。
■ 福祉対応貸付
契約者と同居する親族の福祉向上が必要なときに借り入れできます。
■ 創業転業時・新規事業展開等貸付
新規開業や事業を展開させたいときに、必要な資金を借入れできます。
■ 事業承継貸付
事業承継時において、事業用資産や株式等の取得に必要な資金を借入れできます。
■ 廃業準備貸付
事業の廃止または会社の解散を円滑に行うための資金を借入れできます。
一般貸付制度の利率は年1.5%、それ以外は0.9%です。
上記のメリットや制度のほか、次のようなポイントもおさえておきましょう。
■ 掛金を前納すると減額金が受け取れる
掛金は1年分以内の掛金分を前払いできます。その際、前払いした金額や期間に応じて「前納減額金」を受け取ることができます。よって手元の資金に余裕があるのであれば、前納するほうが得になると言えます。
前納減額金の計算例
前納減額金は「毎月の掛金額 × 0.09% × 前納月数の累計」で求められます。
前納月数の累計とは、通常よりも早く納めた月数の合計です。例えば、4月に1年分前払いすると、5月分は1ヶ月先に納付、6月分は2ヶ月先に納付、7月分は3ヶ月先に納付したと考えられるので、前納月数の累計は「1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66」になります。