給与所得者の「特定支出控除」よくあるギモン (1/6)

最近創設された制度である、給与所得者の「特定支出控除」。
サラリーマンでも、仕事上、一定の持ち出しがあるという指摘を受けてつくられた制度ですが、まだまだ浸透しているとは言い難いです。
そこで、今回は、特定支出控除について、よくされる質問についてまとめたものを何回かに分けて解説していきたいと思います。

《給与所得控除のキホン》

1.給与所得控除が受けられる場合
給与所得者(サラリーマン)が、各年において「特定支出」(2で解説)をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が、給与所得控除額の2分の1(年収1500万円以下の場合)を超えるときに、その年中の給与所得の金額から、その超えた部分の金額を追加で控除することができます。

2.特定支出の種類と内容
通勤費...会社から通勤手当が支給されない場合や、限度額があり、一部自己負担した場合など
転居費...転勤や就職のための転居に要した費用
研修費...自己研鑽などのために研修を受けた費用で、雇用主が職務上必要と認めたもの
資格取得費...資格取得のための費用で、雇用主が職務上必要と認めたもの
帰宅旅費...単身赴任者などが帰宅するのに要した費用
勤務必要経費...その他職務上必要な経費(図書費・衣服費・交際費等上限65万円)


再建築不可の無道路地など、特殊な土地の相続税法上の評価

相続税において、土地の評価は、市街地の場合「路線価」という匡が公表する方法によって機械的に行っているため、実際に取引されている価格と乖離することがあります。
実勢価格よりも路線価による評価額が低ければ、相続税が安くなるのでよいのですが、路線価が実勢価格を上回ってしまっている場合は、そのまま路線価で評価すると、相続税の納付額が高くなってしまいます。
そのような場合でも路線価を使わなければならないのでしょうか。

ある建築基準法上の道路に接していない土地があるとします。「通路」(法律上の道路ではない)に接しているのみであり、そのような土地は、建築基準法で、建物が再築できないことになっています。
可能なのは、一定の範囲内の修繕とリフォームのみであるため、条件が悪く、実勢価格は低いと考えられます。

しかし、そのような土地でも、路線価が付されている場合、原則として路線価によって相続税評価額が算出されることになります。
路線価は実勢価格の8割程度といわれていますが、無道路地であるこのケースでは、相続税路線価は実勢価格より高いと考えられます。
中には勘違いされている方もいらっしゃいますが、実は相続税評価額を計算するにあたって、必ずしも路線価を基準にする必要はありません。
実勢価格が路線価より低いと見込まれる場合は、実勢価格ベースで相続税評価を行ってもよいと考えられています。

ただ、不動産業者や不動産鑑定士に評価を依頼することになるので、一定の報酬の支払いが発生してしまいます。
実勢価格と相続税評価額の乖離が大きい土地(今回の事例の無道路地のほか、市街化区域にあるがけ地や山林などが該当することがあります)については、そのような報酬を払ってでも実勢価格で評価した方が安い場合もありますので、そのような場合は、実勢価格で評価を行うことになります。
相続税の財産評価をする際には、安易に自己判断をするのではなく、専門家のアドバイスを必ず求めてください。
思わぬ「勘違い」をしていることがあります。