給与所得者の「特定支出控除」よくあるギモン (3/6)
最近創設された制度である、給与所得者の「特定支出控除」。
サラリーマンでも、仕事上、一定の持ち出しがあるという指摘を受けてつくられた制度ですが、まだまだ浸透しているとは言い難いです。
そこで、今回は、特定支出控除について、よくされる質問についてまとめたものを何回かに分けて解説していきたいと思います。
《資格取得費(法科大学院の費用)》
Q4.勤務先より弁護士の資格を取得するよう命令を受け、法科大学院(ロースクール)に通うことになりました。この法科大学院に係る支出は特定支出になりますか。
A4.これまでの法令の規定に基づきその資格を有する方に限り特定の業務を営むことができることとされている弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、医師、歯科医師などの資格を取得するための支出は、特定支出の範囲から除かれていましたが、平成24年度の税制改正において、これらの資格を取得するための支出についても、その支出がその方の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者によって証明されたものは、特定支出となることとされました。
現在、基本的には法科大学院で一定の学位を取得しない限り司法試験の受験資格が得られず、弁護士の資格を取得するための一般的な手段が法科大学院を修了する方法であることなどを踏まえれば、法科大学院に係る支出は、資格取得費として特定支出となります。
なお、会計大学院(アカウンティングスクール)に係る支出については、会計大学院は、それを修了することにより、公認会計士試験の一部科目を免除されますが、法科大学院とは異なり、受験資格を得るための支出ではないため、資格取得費としては特定支出とはなりません。また、税法や会計学に関する研究により修士の学位を取得するための支出についても、これにより税理士試験の一部科目を免除されますが、同様に資格取得費としては特定支出とはなりません。
《勤務必要経費・図書費の意義(媒体)》
Q5.私は金融新聞の電子版を定期購読しています。この定期購読のための支出は、特定支出となりますか。
A5.書籍、新聞、雑誌その他定期刊行物などの図書で職務に関連するものを購入するための支出で、その支出がその方の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者により証明がなされたものは、特定支出となります。
事例の場合、電子版による図書を購入するための支出については、その支出がその方の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者により証明がされたものは、特定支出となります。
なお、その記事等を閲覧するためのパソコンなどの機器を購入するための支出については、特定支出とはなりません。
《勤務必要経費・図書費の意義(雑誌)》
Q6.住宅販売の会社に勤務していますが、住宅に関する特集記事を掲載している雑誌を購入しました。この雑誌を購入するための支出は、特定支出となりますか。
A6.書籍、新聞、雑誌その他定期刊行物などの図書で職務に関連するものを購入するための支出で、その支出がその方の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者により証明がされたものは、特定支出となります。
特定支出となる図書とは、職務に関連するものであることから、いわゆる雑誌であっても、特集記事などで職務に関連する記事が記載されている場合で、その方の職務の遂行に直接必要なものであることについて給与等の支払者により証明がされたものは、特定支出となります。