社長の後継者育成費用として法人が負担する 社長の子弟の学費等の取扱い
【質問】
同族会社で、資格が必要な仕事の場合、専門学校などに社長の子弟を通学させ、資格を取得させることがあります。そのような場合、その学費は、会社の事業継続に不可欠なものなので、経費計上することができるように思えますが、実際の取り扱いはどうなのでしょうか。
【回答】
所得税法上、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人の職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許もしくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品で、これらの費用として適正なものについては、課税しなくても差し支えない旨の取扱いが示されていました。
しかしながら、この非課税の取扱いは、現に使用者たる法人の役員又は使用人のための技術習得等費用に係るものであるところ、使用人でもない社長の子弟の専門学校修学の学費について適用することはできないものと考えられます。
法人の役員がその子弟を自分の後継者とするために修学させることに伴う学費は、その法人の業務上の必要に基づくものというよりも、役員の子弟であるからこそ受けられるもので、本来は扶養者たるその役員個人が負担すべきものと考えられることが理由になります。
そうでなければ、例えば医療法人の理事長の子弟を大学医学部で学ばせる学資や、調剤薬局を営む法人の社長の子弟を薬科大学に修学させるための学資等はすべて、法人の損金とすることが可能となって不合理極まりないことになります。
そのため、会社が社長の子弟の学費を負担する場合には、その学費相当額は、役員給与の額に加算すべきものと考えます。